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第6回【インバータについての話題】

ご要望のあった、インバータのお話です。
身の回りにも多くのインバータ製品が使用されています。
電車、エレベータ、エスカレータといったものから、照明、電子レンジ、洗濯機といった生活に密着したものまでほとんどの製品でインバータが使用されています。

さて、インバータと一口で言っていますが、インバータは、交流を直流に変換する「コンバータ」と直流を交流に変換する「インバータ」の2つで構成されています。
もちろん、入力されるものが、乾電池などの直流であれば、「インバータ」だけで交流を作ることができます。


1.モータとインバータ

交流モータ(誘導電動機)は、周波数を変化させることによって回転速度を変化させることができます。(式1参照)

(式1:回転速度の求め方)

(例)モータ極数p=4極
   すべりs=0
   周波数f=50Hz

として、と周波数に比例した回転数が発生するのがわかると思います。


もう1つ式をだします。(式2参照)

(式2:電流と磁束の関係)

∝=比例の記号

 この式は、モータ運転電流は、磁束に比例して、周波数に反比例することを表します。
もし、電圧を一定で周波数を下げる(低く)すると、回転速度は遅くなりますが、電流は増加します。結果、モータの巻線は、大電流のために加熱し損傷し、モータは壊れてしまいます。

 そんなことにならないためにも、周波数の変化にあわせて、電圧を変化させてやる必要があります。
 つまりこれが、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)可変電圧・可変周波数を必要とする理由です。


2.省エネとインバータ(モータ)

 いろいろな製品のカタログにインバータ採用、省エネ率○○%(当社比)などと宣伝してるものが多くなりました。
 インバータを使うとどうして省エネなんでしょう。

 単純な発想だと、インバータ装置を使用するために余分な電気を使うはずです。
実際に、インバータ効率(出力/入力)は95%程度です。
となると、いったいどこに省エネを期待できる部分があるのでしょう。(ちょっと考えてみてくださいね)

ヒント!
1.モータは全開運転しているときは、インバータはあってもなくても同じ。
2.電力は電圧と電流の積(P=V×I)で求められる。
3.モータの回転を止めるには、抵抗が必要。
4.実際には定格以上の電圧が供給されている。
5.起動時には、多くの電流が流れる。
あんまり、ヒントになっていないかもしれませんね。


モータを回転させようとすると、多くの電流が流れます。

 直入などと呼んでいますが、「全電圧始動」と言われる、モータと電源を直接接続して運転する方法では、なんと定格電流の6〜8倍という電流(始動電流)が流れます。
 ということは、運転・停止を頻繁に繰り返すモータでは、定格以上の電流を多くの時間流していることになります。これは、モータ自体の消耗も激しくなるため、寿命も短くなります。

 もちろん、電流が多く流れるので、消費する電力も多くなります。

 そのため、始動時の電流を減らすために、Y−Δ(スター・デルタ)始動、リアクトル始動、抵抗始動といった、さまざまな運転方法が利用されています。これは、5.5kWを越えるモータで使用されるので、それより小さなモータでは、利用されることはほとんどありません。

 インバータ始動では、周波数・電圧を無段階に変化させることがことから、定格より低い周波数・電圧で運転を開始し、始動電流を低く抑えることが可能です。

 これによって、消費電力を抑制し、省エネを図ることができます。

種類 接続例 特徴
全電圧始動

商用電源を直接電動機(モータ)に接続する方法

電源の電圧・周波数が直接電動機に加わるため、始動時に電動機の定格電流の6〜8倍の始動電流が流れる

Y−△始動(スターデルタ)

結線をY結線と△結線とで切り替えられる電動機を使用し、始動時にはY結線で始動し、その後△結線に切り替える方法

△結線に比べ、Y結線の場合始動電流が全電圧始動の1/3となる
また、始動トルクも1/3になるため、軽負荷での起動に適している

5.5kW以上の電動機で使用される

リアクトル始動

電動機と電源の間にリアクトル(コイル)を挿入し、このリアクトルのインピーダンス(抵抗)により始動電流を抑える

比較的広範囲の始動特性を得ることができる

設備にかかる費用が高くなる

インバータ始動

電圧・周波数を、無段階に調整できる特性から、商用電源より低い周波数・電圧から電動機を始動することで、始動電流を抑える

必要な始動トルクが電動機の定格トルクと同じだと、始動電流も定格電流と同じになり、始動電流がきわめて少ない

半導体部品で構成されているため、過電流には連続出力の2倍程度までしか耐えられない
始動トルクにみあった、インバータ容量が必要

一般的な、電動機(モータ)は設計上、回転速度が120%・2分間の過速度に耐えることができます。
インバータを使用して、周波数を高くすると、思わぬ故障を招きます。電動機の特性を考慮して、インバータの設定を行いましょう。


動いているものを止めるには抵抗が必要です。

 回転しているモータをなるべく早く止める(減速させる)ために、従来”抵抗”による熱損失(発熱)を利用して行ってきました。
 この方法は、モータへ供給している電気供給を遮断し、代わりに抵抗器を接続することで、モータを発電機として利用し、抵抗を発熱させてエネルギーを消耗させるという方法です。

 インバータでは、回生制動という方法を使用して、電気(エネルギー)の回収を行います。

 回生制動では、モータを発電機と利用するところまでは同じですが、抵抗器を接続せず、インバータ装置によって電源へモータで発電した電気を戻すことを行います。
 電気を戻すことによって、モータは回転エネルギーを電気として消費することになるため、モータは減速します。また、戻した電気は他の負荷で使用されるため省エネにもなります。


電圧は定格+αが基本です。

 工場、家庭を問わず、電圧は若干高めで供給をされています。
というのも、電線を長くすればするほど、電気を使用したときに発生する電圧降下が大きくなるため、2〜5%程度高めで供給しています。
コンセントですと、102〜105V程度になっているはずです。

 ただし、曜日や時間帯などによっても変動がありますし、夜間は電圧が低い(98V)といったこともあります。これは、地域の電気使用状況によって変動しますので目安にしてください。

 さてこの若干高めの電圧ですが、当然電圧が高くなれば、電流も増加します(式2:電流と磁束の関係を参照)ので、消費する電力も多くなります。
 この僅かな増加も、大容量のモータや多数のモータを運転している工場では、全体でかなりの増加となります。
 そのため、インバータ製品の機能の1つとして、電圧固定を行うことができます。
 これは、100Vや200Vといった定格電圧でモータに給電をすることができる機能です。

 モータに限ったことではなく、照明向けの電源装置などでも利用されていて、この場合は、「節電機」などと呼ばれています。
 電圧を一定に保つ、定電圧装置に特化したもを、AVR(Automatic Voltage Regulator 自動電圧安定装置)といいます。


3.インバータの問題点

 インバータを使用すると、電源周波数の整数倍の周波数を発生します。
 これを、高調波(こうちょうは)と呼びます。この高調波が電源に流出することで、電源につながっている他の機械を動作不良にしたりする場合があります。
 また、LC共振というコイルとコンデンサが特定周波数で抵抗が0になる現象があり、特定周波数が高調波の周波数と同じだったため、機器が損傷した事故もあります。
 そのため、高調波抑制ガイドラインというものがあり、高調波による影響を抑えるように基準を設けています。この基準に適合するように、直列リアクトル(コイル)やノイズフィルターをあわせて使用します。

高調波の発生する原因について(新電気May1999/P25より抜粋・一部補足)
 高調波を発生する原因は、整流部に含まれるダイオード(半導体素子の1つ)によって、電源側からみたインピーダンス(交流回路で発生する抵抗の1つ)が時間とともに変化し、広く用いられているコンデンサインプット形の整流回路では、ある期間は電源電流が流れず、またある期間では大容量コンデンサ(蓄電作用のある部品)の充電電流によって、パルス状の電流波形になる。

というのが原因だそうです。(^_^;)

参考図